今年2022年3月から、私はロシアを代表する小説家・トルストイの『戦争と平和』を読んでいます。

この記事を執筆している2022年7月下旬時点で全体1/3まで読み進めました。

我ながら「読むのが遅いな」と思いながらも隙間時間に読み進めています。

そんなトルストイの『戦争と平和』を読みながら、この作品についてだけでなく「世界の名作」「古典」を読むことそのものについて考えることはたくさんあります。

なぜ今トルストイの『戦争と平和』を読み始めたか

「トルストイの『戦争と平和』」

と聞いて、内容も何も知らない人は、

「きっと『地上での殺戮と空の美しさとの対比』的なことがたくさん書いてあるんだろう」

と想像するのではないでしょうか?

私は想像しました。

むしろ『戦争と平和』は岩波文庫で全6巻でまとめられているほどの超長編小説であるにもかかわらず、

「それ以外に何が書いてあるんだろう」

とさえ思っていました。

「こんだけ長いんだから他にもいろいろ書いてあるに決まってんだろ!」

冷静に考えられる今は読み始めた当初の自分にそうつっこみを入れたい。

2022年3月と言えばウクライナでの戦争が始まった頃でもあります。

連日テレビで流れる悲惨な映像に胸を痛めた私は、真の平和について考えるため、「地上での殺戮と空の美しさとの対比」的なものを期待してロシアの巨匠・トルストイの『戦争と平和』を読み始めた次第です。

初見読みが難しい時代

結末を知った上で小説を読むのも決して面白くないわけではありません。

それこそ私はあらかじめ結末を調べた上で小説を読むこともあります。

しかし今回の『戦争と平和』は「絶対にあらすじを調べない。結末を知らないまま読み進める!」と決意した上で読み始めました。

正直1/3あたりまで読み進めるまで主人公が誰なのかをおおよそ予想することさえできていませんでした。

「主人公は誰だろう?」

最近まで私はそんな疑問を抱きながらこの物語を読んでいたのです。

今の時代、トルストイに限らず「世界の名作」と呼ばれる小説のあらすじや登場人物はGoogleで検索すれば一発で調べることができます。

『戦争と平和』なら、もしかしたら10年以上前にすでに「5分で読める世界の名作」的な本にまとめられていたかもしれません。

5分くらいで読めるあらすじであれば、今は無料で瞬時に入手できる時代です。

むしろ読んでいる間にあらすじなどに一切触れずにいる方が難しい。

トルストイ、『戦争と平和』、ロシア文学、世界の名作……小説を読んでいる間は意識がそっちに向いているため、自ら望まずともそういう情報が入ってきます。

約5ヶ月の間、内容を理解することよりもそういった情報を全て振り切って過ごすことが非常に難しかったです。

トルストイが「難しい」理由

「難しそうな本読んでますね」

トルストイに限らず「世界の名作」と呼ばれる本を読んでいると、そう言われることはあります。

が、私は別に日本語以外の言語で「世界の名作」を読んでいる訳ではもちろんなければ、「古い日本語」を読んでいる訳でもありません。

現代の日本人でも読める日本語で翻訳されたものを読んでいるだけです。

ですから「世界の名作」と言えども実は日本語が難しい訳ではありませんし、恐らくこれは多くの人が「冷静に考えればそうだよね」とうなずくことではないでしょうか。

日本語、言葉だけの話をすれば、今話題の本が読める人であれば「世界の名作」も簡単に読めます。

ではなぜ人は「難しそう」と思ってしまうのか。

『戦争と平和』は今から150年ほど前に生まれた。

150年ほど前の話なので「名作」であっても「21世紀の今の流行作」ではありません。

そんな作品を読んでいると、私は不安になることがあります。

「この本読んでる間は新しいものについていけてない」
「ついていけてない私はヤバいんじゃないか……」

特にAmazonから「あなたにおすすめの本」といったDMが届くたびに心がざわつきます。

そうした不安や動揺に耐えながら、「21世紀の今の流行作」ではないものにかなりの時間を費やすのは非常に疲れます。

これが「名作を読むのは難しい」と感じる人が多い原因なのではないでしょうか。

まとめ

別に書かれている日本語が難しい訳でもなければ、内容が難しい訳でもない。

それなのに「世界の名作」に対して敬遠してしまう人が多い。(もちろん私もその中の一人です)

トルストイの『戦争と平和』を読みながら、作品そのものだけでなく「『世界の名作』を読むとは」についてもあれこれ考える日々を送っています。

まだまだあと残り2/3ある……!!!!

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