誰もが知っていることではありますが、「どうやって働くか、そしてどうやって生きるか」に正解はありません。

ただ、正解がないと言いながらうやむやにしたままだとこのLingが成り立たないため、私能世雄妃なりのキャリア観をここに示しておきます。

私の「挑戦」に疲れた経験

私はミスコン出場をきっかけに一念発起時し、勤めていた会社を辞めて「好きなことを仕事にしよう」と言いながら執筆業とモデルの仕事を始めました。始めた当初、不安はあったもののもちろん自分の中には「この道で成功している自分」のイメージはありました。

しかし計3度のミスコン出場と収入が不安定な仕事への転職は想像以上に私の心身に負担をかけていました。おまけに私は2017年に結婚をし、2014年の入社から結婚までには計4回も引越しをしています。

人間は環境が変わるとストレスを感じるもので、結婚のようなポジティブなものでも私はそこに至るまでにすっかり疲れてしまいました。

だから結婚した直後は、

「しばらく……これから3年くらいは、30歳になるまでは、何かに挑戦するとかはできるだけ避けてゆっくり休みたい」

などと周囲に漏らしていたものです。

本来「挑戦」とはそういうものだと思います。希望の光に満ちている反面、心身に負担をかけるもの。

「挑戦」がしきりに求められる現代

バブル崩壊以降、景気の低迷が長期にわたって続いています。しかも今の日本は少子高齢化と地方格差の問題にも直面している状況です。

私が新卒入社した頃の話になってしまいますが、「ブラック企業」という言葉が流行語大賞に選ばれ、かつては高度経済成長を支えたかもしれない従来の働き方も通用しなくなりました。

そこに2020年のコロナ禍。

副業を解禁するどころか社員に推奨する企業も増えました。SNSなどでコミュニティ作りも活発に行われるようになりました。

こうした時代ではしきりに「新しいことに挑戦しよう」ということが叫ばれます。

仕事の方面だけでなく、趣味の分野でも挑戦することの価値は叫ばれるようになり、「人生一度きりなのだから好きなことを仕事にしよう」と叫ばれたり、趣味を見つけるために躍起になる人が増えました。

SNSを開けば何かに挑戦し、努力し、成功ている人はたくさんいます。そういうものにただ憧れるだけならばまだいいかもしれません。

しかしそれらの本質を見抜こうともせず、内容についてよく考えることもせず、ただ条件反射のようにいいねやコメントをして「挑戦」を賞賛しているつもりになっている人を見ていると、「挑戦」に対する歪んだ憧れと認識が世間に蔓延している気がしてなりません。

果たしてそこまで「挑戦」は価値あるものなのか?

かれこれ数年間、あれこれ挑戦した結果望んだものを手に入れた一方でくったくたに疲れてしまった私は考えます。

「果たして『挑戦』にそこまでの価値はあるのだろうか?」

副業を始める。
転職をする。
朝活に参加する。
コミュニティに入る。

もちろんこれらには価値はあります。

でも、無理をしてやるものでもありません。

人間も他の生物と同様、自分を取り巻く環境が変化すると強いストレスを覚えるものです。例えポジティブな変化であってもストレスはかかります。

そして挑戦とは自ら自分の周りの環境を変えるのと同義です。

心身に負担もかかるし、疲れないわけがありません。

だから私は「挑戦そのものにそこまでの価値はない」という立場にまずは立つことにしました。

ただ目の前の作業をしているだけでは仕事を継続できない

「挑戦にはさほど価値はない」

そう言うと、

「ただ目の前の作業をしているだけでいいんだ」

などと誤解する人もいます。

私は仕事をする上で目の前の作業をしているだけの人間が大っ嫌いでしたし、前の会社でもそういう人間を散々毛嫌いしてきました。そういう人間よりも無鉄砲に挑戦に走る人間の方がはるかに好感度が高いのも確かです。

しかし仕事を継続させるためには絶えず工夫をしなければなりません。

だから私は目の前の作業にだけ集中してその先を見ようとしないことも、無鉄砲に「挑戦」に走る人も私は正しいとは思いません。

……そもそも「目の前の作業をしているだけでいい」と思っているような人は、このサイトにも来ないし、ここまで読まないとは思いますが念のため。

仕事の目的は「挑戦」ではなく「継続」

本来仕事の目的は世の中に全く新しいものを提供することではなく、人々の生活に価値あるものを提供「し続ける」ことです。

一発バーンとすごいものを作って人々の目を引いたところで、それを作り続けられなければ浸透もしなければ記憶にも残らず、人の役に立つこともないでしょう。

例えささやかであっても人にとって役立つものが、作り続けられて初めてその仕事に価値は生まれる。そしてそういうものが本当に「価値あるもの」として讃えられる。

仕事をする上で本当に大事なのは「いかにしてこの仕事を継続させるか」と考えることであり、革新的な挑戦ではありません。

挑戦とは仕事を継続させるための手段にはなりえますが、それだけでは不十分です。

私の考える仕事の目的、そしてLingの趣旨

本当に価値があるのは仕事を継続すること。

継続することで初めてその仕事は社会的な価値が生まれます。

もちろん「挑戦」には価値があるし、そこで得られる幸せもあれば成功もあります。でも「挑戦」は決してそれ単体では仕事の目的になりえません。仕事をする上で本当に大事なのは仕事を継続することです。

革新的な挑戦を煽るのではなく、仕事を継続させる思考の大切さを伝える。

これが私能世雄妃のキャリア観の原則であり、Ling全体の趣旨です。

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