
女性の社会進出が叫ばれる一方で、幹部昇進を望まない女性が多いことが先日ビジネスSNSのリンクトインの調査で明らかになりました。回答者の70%もの女性が社内での「現状維持」か「幹部職を望まない」と答えたそうです。
企業や政府が思うように女性管理職が増えない原因は女性の働き方を取り巻く環境だけでなく、管理職に対するイメージにもあるのかもしれません。この記事では管理職になることを望まない女性が多い理由について解説していきます。
女性管理職を受け入れる体制が企業に整っていない
女性の管理職が増えないのは企業側に問題があることも多いです。
どちらかというと少数精鋭を武器に戦っている小規模な企業では女性管理職の割合は高い傾向にあります。一方で従業員1,000人以上の大企業では依然として管理職に就く女性の割合は低いままです。
「もっと女性の管理職を増やそう」と国や企業が意識するようになり、2003年には「2020年までに指導的地位の女性比率を30%に」と政府は目標を掲げたものの、実現には程遠いのが現状です。
女性の管理職が思うように増えない原因は、未だに昭和の体制から抜け出せない企業が多いことが挙げられます。
「若手にもリーダーシップをとる経験をさせよう」
と口を酸っぱくして語る人は多いものの、どうしても若手の男性社員と女性社員とでは扱いに差が出てしまうこともあります。
染み付いた意識を変えるのはなかなか難しいです。評価体制や社内の福利厚生を工夫するなどして平等に昇進の機会が与えられる仕組みを作る必要があります。
管理職に対するネガティブなイメージ
一方で管理職に対してネガティブなイメージを抱いている女性が多いのも事実です。どんなに女性管理職を受け入れる体制が整っている企業でも、昇進を望まない女性に対してはその体制も意味がありません。
管理職に対して「プライベートの時間がなくなりそう」というイメージは多くの女性が抱いています。責任を負うことが増える管理職になると、常に仕事に縛られることになるのではないか……と不安に感じてしまうのです。従って「責任を負いたくない」から管理職になることを望まない女性も決して少なくありません。
実は管理職になることが必ずしも意味がないとは言い切れません。今の仕事にやりがいを感じ、続けたいと願い、今の生活に感謝している人ほど管理職に昇進することが重要になることも珍しいことではありません。
今の仕事や今の生き方に心地よさを感じているからこそ、幅広い選択肢をイメージしなければなりません。責任が逆に自由を手に入れる鍵になることもあります。
「女性管理職=女性の憧れ」ではない

「かっこいいスーパーウーマン」として語られる女性管理職に憧れている女性は、実際にはあまり多くないということも女性管理職が増えない原因としてあげられます。
女性管理職は必ずしも女性から憧れられるイメージではありません。
「独身だからチャンスがあったんでしょ」
「結婚してても子供がいないから管理職の仕事ができるんだ」
女性の中には女性管理職に対してこのような厳しいイメージを抱いている人も少なからずいます。
こうした問題を解決するためにはワークライフバランスを重視しながら働ける環境を整える必要があります。既婚者であっても、育児や介護をしていてもチャンスが平等に与えられる仕組みを作ることでこうした女性による女性管理職に対するイメージは変えられるはずです。
実際に管理職になることによってさまざまなメリットを感じている人もいる
実際に管理職になった女性の中には、管理職になることを望まない女性が抱いているイメージとは異なるメリットを感じている人もいます。
管理職になることでプライベートの時間がなくなってしまった人ももちろんいますが、逆に時間管理が自分でできるようになりプライベートが充実するようになったという人もたくさんいます。プライベートにどれくらい影響を及ぼすかは仕事の内容によって異なるようです。
ワークライフバランスも管理職になった後の方が充実するようになったという人もいます。
さらに管理職になったことで仕事にやりがいを感じられるようになったという人も多いです。背負う責任は増えるかもしれませんが、その分得られる成果も多いということ。
女性側が抱いている管理職のイメージと実際に管理職になった人の実感との間にはかなりの差があることが考えられます。
まとめ
なかなか女性管理職の割合が増えないことに頭を悩ませている企業は少なくありません。社内の体制を整えることでより多くのチャンスを女性に与え、社内の意識を変えることができます。
意識や考え方を変えることは困難です。しかし仕組みを変えることで人々の意識がそこに順応することはあります。社内の男性・女性の意識を変えるためにもやはり重要なのは評価体制や福利厚生などの仕組みづくりになってきます。
編集後記

今日はコワーキングスペースで仕事をした。
このLingの記事、執筆中の小説などなどの原稿を仕上げる。
コワーキングスペースのオーナーが私のことを「文学少女」と言うので、「もう30歳なんで『少女』なんて言われるのは恥ずかしいですよぉ〜」と言ったら、「だって見た目はともかくとしてしゃべるといろいろ出ちゃうじゃん」と言い返された。
「いろいろ」ってなんだ……いろいろって……。