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カール・マルクス&フリードリヒ・エンゲルス『共産党宣言』読書感想文

「この手の本を読んだからといって『読書感想文を書く』というのも何かおかしいような気がする……」

と、私自身も書いていて思わなくもないが、あえて「読書感想文」という体で『共産党宣言』についてこの記事では書いてみようと思う。

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私自身の会社員時代の経験

たった2年だけだが、私は過去に会社員だった時期がある。大学を卒業して新卒採用で入社した会社だ。

そもそも会社員になるということに前向きな気持ちではなかった私の就活には、今思うと反省すべきところもものすごく多かった。妥協に妥協を重ねた上で中途半端な気持ちで入社した会社なのだから2年しか続かなかった原因は私自身の姿勢にあるとも言える。

しかし、私自身の問題を抜きにしても、あの会社にはさまざまな問題があった。計画性のない会議・研修が繰り返されることに私はすっかり疲弊しただけでなく、業務の中には明確な指示系統がないため気が弱くて断れなさそうな人にばかり負担がかかるものもあった。

年間勤務日のスケジュールが明確に定められていないのも問題だった。ある日突然「本来この日は公休日だが出勤日にした。出勤日なのだから休日出勤手当は出さない」といったことを言われることも何度もあった。

入社3ヶ月にしてこうした問題にすっかり腹を立てた私は、労働組合とつながり、社内の労働環境改善に多少なりとも携わることになる。

「自分の権利ばかりを主張するモンスター社員」

私のことをそう批判する人もたくさんいた。私自身も自分のことをそう疑い、苦しんだのも事実だ。

でも、今振り返ってみるとあの時私が労働環境の改善を訴えたことにはやはり価値があったと思う。

働き方改革が進められ、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて人々の働き方が変化しつつある今、労使関係は変化せざるを得ない状況に置かれているためだ。

そんな中でこの『共産党宣言』は現代であらたな価値を持つようになった書物だと思う。

『共産党宣言』概要

『共産党宣言』は1848年にカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって書かれた。当時結成されていた国際秘密結社「共産主義者同盟」の綱領の役割を果たす書籍だ。

私有財産を廃絶し、共有すること。
労働者(プロレタリア)と資本家(ブルジョア)の対立の歴史とこれから。
これまでの労働者と資本家の関係を「革命」によって変えていくことの妥当性と必要性。

といった共産主義の概要について書かれている。

労働による没個性化

♪毎日毎日僕らは鉄板の

♪上で焼かれて嫌になっちゃうよ

Uta-Net

1975年に大ヒットした『およげ!たいやきくん』のこのフレーズを知っている人は現在でも多いのではないだろうか。子供向け番組で放送された歌だが、毎日会社で働くサラリーマンを比喩的に描いたこの歌には、とても童謡とは思えない悲惨さが隠されている。

「こんなことして、私の人生どうなるんだろう」
「変わり映えのない一日の連続で人生が終わるのだろうか」

単調な労働を繰り返しているだけではどんどん自分の個性が見えなくなってしまう。そして毎日一生懸命働いているつもりでも、ふとした瞬間に「本当の私って何者?」と自問自答してしまう。特に嫌なことがあったわけではなくとも、こんなことを考えることは精神的にも負担になる。

1800年代にも似たようなことを感じ、危惧していた人がいた。産業革命が起こり、工場での労働が一般的になる中で、職人はいなくなり、労働者は作業の繰り返しを余儀なくされる。

「自分って何?」

工場で作業を繰り返していくうちに、労働者はそんな思いを抱くようになる。

『共産党宣言』はそんな思いの結晶の1つだ。

だからこそ、現代でも世界的な価値が認められているし、現代人にも納得できる点が多い。

インフラの発達と労働者

私が会社員時代、労使関係で疑問に思ったことはスマホでいろいろ調べられた。調べた結果私は、

「就労規則に法的な根拠はない」
「だから就労規則違反をしたところで裁判になれば勝てる可能性はかなり高い」

ということを知った。

スマホで検索すれば誰でも労働基準法の内容を知ることができる。労働基準法を一般の人でもわかりやすく、事例を紹介しながら解説しているページもたくさんある。

労働者は誰でも簡単に自分の身を守るための手段を見つけられる。

そうなってくると企業は今まで通りただ闇雲に「労働者はただ従うべし」と言うことができなくなる上に、下手なことを言えばコンプライアンスにも関わってしまう。

インフラが発達したことによって「企業が上、労働者は下」という関係を見直さなければならなくなったのだ。

移動手段が限られている産業革命以前の世界では、各地の労働者が結びつくことは不可能だった。しかし産業革命での蒸気機関車の発明は、各地の労働者が結束することが可能にした。

『共産党宣言』を読んで、古今東西のインフラの発達と労使関係の変化の共通点をひしひしと感じた。

まとめ:私の根っこは「労働者(プロレタリア)」

私は現在個人事業主として仕事をしている。会社を辞めてこの仕事を始めるにあたって「経営者とはどうあるべきか」や「会社を経営するとは」といったことが書かれた本を読み漁った。そもそも私は大学では経営学を勉強している。

会社を辞めた時には清々した気分にもなった。

それでも今、こうして個人事業主として仕事をしながらも実感している。

「私は労働者(プロレタリア)だ」

『共産党宣言』で書かれている資本家(ブルジョア)と現代の経営者とは少しニュアンスが違うとは思う。その上でにはなってしまうが、私は決して資本家でもなければ経営者でもない。

労働の中に喜びを見出し、労働の中で「自分らしさ」を見出す。

毎日毎日仕事をし、時には腹を立てることもあり、時には涙するほど喜びながら、私は自分が労働者であることを誇りに思う。

編集後記

今日は知り合いのピアニスト、山路裕子さんのピアノコンサートに行ってきた。

山路さんには失礼なくらい自分勝手にも、演奏会のプログラム内容を最近自分の身の回りで起こっていることに重ねてしまった。

山路裕子さんYouTubeチャンネル

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