
「お金で幸せは買えない」
ということは広く言われていることであり、多くの人が理解していることでもある。しかし一方で人々の生活はお金があるから成り立っている側面もある。こうした中ではお金に過剰な執着をしてしまう人も少なくない。
どんなにお金があってもお金に縛られた生活をしているうちは幸せにはなれない。お金と上手に付き合い、豊かな生活を手に入れるためには「そもそもお金とはなんなのか」について理解する必要がある。
この記事ではお金が持っている基本的な機能や性質について紹介する。お金の本質を理解し、上手に付き合うことを目指そう。
お金の3つの機能
実はお金には基本的な機能が3つある。これらの機能を理解することで、お金の実態を理解し、お金と正しく付き合えるようになる。
価値の保存機能

現在多くの人が将来に備えてお金を蓄えるということをしている。これはお金そのものの価値が時間の経過によって変化しないためにできることだ。
物々交換をしている場合、時間の経過とともに物の価値が下がってしまうことがある。魚などの食べ物をイメージすると時間が経つにつれて価値が下がることがイメージしやすい。価値が下がってしまった場合は自分が欲しいものとの交換ができなくなる。さらに価値を下げないための工夫も必要になってくる。
「金庫に保管しておいたら紙幣や硬貨が腐っていた」ということはまずない。だから長期間保管しておいてもお金は価値を失うことはない。従って物々交換ではなくお金があれば価値を保存することができるようになるのだ。
価値の交換機能
物々交換をする場合、相手が欲しいものを自分も持っている必要がある。どんなに自分がたくさんの物を持っていても、相手が欲しいものを持っていなければ交換は成立しない。そうなってくるとさまざまな場面で不便さに直面することになる。
「肉が欲しい」と思っているが自分の手元には魚がない場合、物々交換をするのであれば「肉を持っているが魚が欲しい」という人を探さなければならない。最適な相手を見つけ、双方のニーズを満たすための手間がかかる。
お金を介して物を交換すれば、相手が求めているものをこちらが持っていなくても欲しいものを手に入れることができる。必要なものがある場合でもお金があればスムーズに手に入れることができるのだ。
必要な物・価値ある物をスムーズに手に入れるためにお金は存在している。
価値の尺度機能
人は値段を見てその商品やサービスの価値が高いか低いかを判断する。こうした判断材料となる機能がお金に備わった価値の尺度機能だ。お金の量で値段がつけられるため、人はその物の価値を判断することができる。
目の前に2つのダイヤモンドがあるとする。ダイヤモンドに関する知識を持たない人はどちらが価値のあるダイヤモンドかを判断することはできない。しかし片方が1万円でもう片方が100万円と説明されればどちらの方が価値があるかを判断しやすい。
値段がつけられることで、自分にとって何が価値がある物なのかを判断しやすくなる側面もある。
「100万円の指輪よりも恋人と食べる2,000円のランチの方が私にとって価値がある」
という考え方は物に値段がつけられているから得られるものだ。現在無料でありながら刹那的な快楽を与えてくれる物はたくさんあるが、こうした中では自分自身の価値観が育たない上に本当の充足感を感じることも難しくなる。
発行する国や政権に信用がなければお金は機能を発揮できない

1,000円札を見て「これには10,000円の価値がある」と言う人はいない。お金は誰が見てもその金額の価値を理解できる形になっている。だから上記の3つの機能を果たすことができるのだ。
誰が見てもそこに書かれている数字を信頼できなければ、誰が見てもその金額の価値を理解できるということは起こりえない。従ってお金が流通するためには発行している国や政権に対する信頼が必要になってくる。
逆に言えばお金の発行源に信頼があれば、お金の形はなんでも構わないのだ。現在は便宜上紙幣や硬貨が使われているが、過去には貝殻や塩がお金として使われていた時代もある。
まとめ
お金で幸せは買えないと言っても、少なくとも現在の日本で生活していく上では生活する上でお金が必要になってくる場面は多い。本当に自分にとって価値があると感じられるものはどんなものなのかを知ることが、お金に縛られず、幸せに生きるためには重要になってくる。
どんなに必要なものでも無料で手に入れられることも最近では増えてきた。便利な反面無料のものがあふれかえっている世の中では、本当に自分にとって大切なものが見えなくなってしまいがちだ。
自分の価値観を養い、本当の幸せを手に入れるためにも、本来のお金の機能を理解する必要がある。幸せを手に入れるためにもお金についての理解を深めよう。