働き方の多様化が進む中で、「パラレルキャリア」という考え方も広まりつつある。パラレルキャリアとは一つの仕事を本業として捉え、その人の人生の軸として捉えるのではなく、お金を稼ぐ・稼がないに関係なく本業以外での活動も踏まえた上で人生を捉える考え方だ。

この記事ではパラレルキャリアについて詳しく解説する。

パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとはP.F.ドラッカーが『明日を支配するもの』の中で紹介した考え方の一つであり、「本業を持ちながらも他のキャリアも築くこと」と定義されている。

最近では副業を解禁する企業も増え、副業をする人も増えてきた。一つの仕事を本業と捉えるのではなく、複数の仕事を同時に並行して行っている人も少なくない。また、本業以外の場所で自分らしく過ごせる生き方を見つけ、実践している人もいる。

パラレルキャリアを考える際にお金を稼ぐかどうかはあまり重要ではない。大事なのは本業に縛られずに自分らしく生きていることだ。

従って会社での仕事を本業としている人が、社外でボランティア活動をしている場合でもパラレルキャリアと考えることはできる。「キャリア」という単語を単なる収入源として捉えるのではなく、自分の人生に関わること全般として捉えるのがパラレルキャリアを考える上でのポイントとなってくる。

パラレルキャリアの例

以下ではパラレルキャリアの例をいくつかあげてみる。

  • 作家・モデル・ライターの3つの仕事を並行して行いながらも家庭生活も充実させている。(筆者)
  • 会社員をやりながら自作の小説を出版した。
  • 主婦としての一面もありながらも、ロックバンドのボーカルとしての一面も併せ持っている。
  • 会社員として働きながら発展途上国支援のための活動も行っている。・
  • 昼間はパートとしてやりがいを感じながら働くと同時に自宅でも充実した子育てを楽しんでいる。

これらはあくまでも例でしかない。パラレルキャリアには十人十色のパターンがあるため「こうでなければならない」というものも存在しない。自分が納得し、自分らしさを活かせているのであれば十分「パラレルキャリア」と呼べるのだ。

パラレルキャリアのメリット

さまざまなメリットがパラレルキャリアという考え方にはある。メリットを活かすことでより豊かな人生を歩めるようになるだろう。

以下ではパラレルキャリアのメリットを4つ紹介する。

軽い気持ちで始められる

パラレルキャリアにはこれといった正解が全くない。本業の仕事場以外の場を複数持つことで本人が納得し、自分らしく生きられているのであれば「パラレルキャリア」と呼ぶことができる。雇用形態や収入は関係ない。

そのためパラレルキャリアは気軽に始められる。

「友達に誘われたから」
「子供の頃好きだったから」

そういった気軽な理由で始められるのがパラレルキャリアの最大のメリットだ。

自分の得意を活かせる

本業では活かしきれない自分の能力でも、他の場所に行くことで縦横無尽に活かせることもある。パラレルキャリアとして本業の仕事場以外の場所やコミュニティに属することで、本来の自分の能力を目覚めさせることもできるのだ。

自分の能力を発揮することは強い喜びや生きがいを感じさせてくれる。逆に自分の能力が押さえ込まれている状態では無意識のうちにストレスを溜め込んでしまう恐れもある。また、本業の場所ではどうしても活かせる能力が限られてしまうこともある。

複数の生き方ができる環境を持っていれば、自分の才能を活かし切ることも可能だ。パラレルキャリアは本業以外の場所で自分が活躍することを許可してくれる考え方と言える。

自分の夢を叶えられる

従来は本業を理由に、自分が本当に叶えたかった夢を実現させることができないというのが一般的だった。しかしパラレルキャリアの考え方では本業以外での自分の活躍の場が確保できるため、こうしたことも起こりにくくなる。

上記で「パラレルキャリアでは自分の得意を活かせる」と解説した。自分の能力を活かせるということは、自分の夢を叶えられるということでもある。本当に自分がやりたかったことに挑戦し、成果を出すことがパラレルキャリアの考え方では可能になるのだ。

「仕事以外の生き方をしてもいい」

パラレルキャリアの考え方はこれまで「本業以外の生き方をしてはいけない」と強く思ってきた人の背中を押してくれる。

気軽に失敗できるようになる

複数の生き方をしているということは、万が一その中の一つがなくなったとしても他のものが自分の生き方を支えてくれるということでもある。そのため何かで失敗したとしても自分の人生が全てダメに終わってしまうということがない。

もし一箇所に自分の人生の全てを委ねてしまっている場合、そこがなくなってしまえば露頭に迷うことになってしまう。こうした事態をパラレルキャリアでは防ぐことができる。

「仮にここで失敗したとしても、他の場所があるから大丈夫」

複数の生き方があることでこうした発想も可能になる。従って失敗への心理的なハードルも低くなり、たくさんのことに挑戦できるようになるのだ。

パラレルキャリアの描き方

自由で自分らしい生き方ができる魅力があるパラレルキャリアだが、

「パラレルキャリアに興味はあるけど何から始めたらいいのか分からない」

と悩んでいる人も少なくない。

そういう人は以下に紹介する方法を試してみよう。

自分にとっての得意や好きなことを明確にする

「何から始めたらいいのか分からない」と言う人は、自分の得意なことや好きなことが何なのかを理解していない可能性が非常に高い。そのためまずは自分の得意分野・好きなことを明確にさせる必要がある。

一度時間をとって自分の得意なことや好きなことを100個書き出す作業をしてみよう。こうした作業をすることで、改めて自分のことを理解できるようになるだけでなく、自分の価値観も明確になる。

最初から大きなことをやろうとしない

大きな目標を立てることは重要だが、最初から大きなことをやろうとしてはいけない。まずは手近なところでできることから少しずつ始めるようにしよう。

いきなり大きなことをやろうとすると、どうしても強い不安に襲われてしまう。プレッシャーや不安がストレスとなって心身に悪い影響を及ぼすこともある。

楽しみながら続けることがパラレルキャリアでは重要になってくる。そのためにも小さなことから少しずつ始めてみるようにしよう。

とりあえず名刺を作って形から入ってみる

ある程度やりたいことが決まったら、本業以外の新しい名刺を作ってみよう。名刺を作り、人に配ることで自分の意識がかなり変わっていく。

外見ばかり立派で中味が伴わない羊頭狗肉となってしまうのはもちろんよくない。しかし形から入ることも非常に重要だ。形から入ることで強制的に意識が変わり、人生がいい方向に変化することも多い。

まとめ

自分らしく充実した人生をおくりたいという人にパラレルキャリアの考え方はとてもおすすめだ。本業以外の生き方も充実させることを重視するパラレルキャリアは、多様な生き方を可能にさせてくれる。

本来自分の持っている能力は何なのかを見極め、それをどう活かすかを考え、実践するようにしよう。

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