
2020年12月8日、宇宙航空研究開発機構JAXAが開発した小惑星探査機、はやぶさ2のカプセルが地球に帰還した。カプセルにははやぶさ2が採取した小惑星のかけらが保管されている。
小惑星のかけらに含まれる物質を研究することで、地球での生命の起源が解明される可能性がある。また、太陽系がどのようにしてできたのかといったことも、このかけらから調べることができるかもしれない。
「人間はどうやって生まれたのだろうか?」
「生命はどのようにして生まれたのだろうか?」
はやぶさ2が小惑星から持ち帰ったカプセルは人類がずっと抱いてきたこうした問の答えを持っているのではないかと期待されている。
「はやぶさ2」とは

「はやぶさ2」とは、2010年6月13日に人類史上初めて地球重力圏外にある天体の物質を持ち帰ることに成功した小惑星探査機「はやぶさ」の後継機だ。はやぶさと同様はやぶさ2も宇宙航空研究開発機構JAXAが開発した。
2014年12月3日に種子島宇宙センターから発射されたH-ⅡAロケット26号機で打ち上げられ、2019年2月22日に小惑星「リュウグウ」への1回目の着陸に成功。そして2019年7月11日には2回目の着陸にも成功した。
着陸の際はやぶさ2は小惑星の砂を採取している。採取した砂を収めるカプセルは帰還する際に地球の物質に触れないよう特殊な構造で作られていた。
2019年11月13日から地球に帰還するための運用が開始される。1年以上の時間をかけてはやぶさ2は地球に接近し、採取した砂が収められたカプセルを地球に送った。カプセルはオーストラリアの砂漠に無事着陸する。
地球上に帰還したのはカプセルのみであり、はやぶさ2の本体が地球に帰ってきたわけではない。はやぶさ2はそのまま次の小惑星に接近探査する予定だ。次のミッションが行われるのは2031年7月と言われている。
宇宙開発は最大のロマン

筆者ははやぶさ2の偉業をニュースで知った。ロケットの発射からカプセルの到着まで6年。開発や研究の期間も含めれば研究者たちはもっと長い間はやぶさ2に情熱を注いでいたことになる。もしかしたら失敗に終わるかもしれないことにそれだけの長期間挑戦し続けるエネルギーの高さに頭が上がらない。
人類の起源がどうなっているのかを知りたいと思っている人はいる。しかし一方で「それを知ったところでだからなんだ」と考えている人もいる。そして両方のことを考えている人ももちろんたくさんいる。
「果たして本当に役に立つのだろうか?」
宇宙開発に思わずそんな疑問を抱いてしまう人は少なくない。
星の寿命に比べれば人間の寿命など一瞬のものでしかなく。宇宙の謎を解明しようとしたところで答えを導き出す前に自分が寿命を迎えてしまう可能性の方が圧倒的に高い。
むしろ現在もなおこうして開発が進められているということは、人類はまだまだ宇宙の謎に対する答えを見出していないということだ。所詮、60年前にはじめて人類は宇宙に行くようになったに過ぎないということだろうか。
生涯に答えが得られる可能性が著しく低いにもかかわらず、ただ「知りたい」という思いだけで取り組む宇宙開発は最大のロマンだと筆者は思う。
ロマンは人生を豊かにする

「夢を追いかけている人はキラキラしてる」
などと言う人は多い。
しかし実際に夢を追いかけようとするとさまざまな葛藤にさいなまれる。中には何の葛藤もなしにその道を突き進むことができる人もいるが、そういう人は決して多くない。ほとんどの人が悩み、葛藤に苦しむ。
だから夢を追いかけることをためらう人が後を絶たない。
けれどもやはり自分が本当にやりたいことに取り組むことでこそ幸せな人生は実現する。確かに苦しむこともあるが、夢に向かって動いている間はその苦しみさえもが喜びになる。
それを過去に周囲に自分の意思ではなく周囲に言われるがままに就職し、結果として苦しみ、一念発起して自分がやりたかった仕事を今はしている筆者は実感している。
筆者の情熱など宇宙開発に注ぐ情熱にははるか及ばないかもしれない。しかし筆者は夢を追いかけて生きることの喜びなら多少は知っている。
「夢を追いかける」などと言うロマンチストは人から理解されないことも多い。そのために苦しむことも多い。
それでもロマンは人生を豊かにしてくれる。
ロマンチストであることは一種の幸せに生きるための方法なのだと思う。
ロマンは周囲に伝播する

社会にロマンチストがいないことは短期的には問題ないかもしれないが、長期的に見た時に大きな損失となる。生活に必要な技術のほとんどはロマンチストが生み出しているからだ。
「あり得ない」
「価値がない」
などと散々笑われ、蔑まれていたものが、後々の世で必要不可欠になっているという話は珍しくない。
ロマンは人生を豊かにし、社会を豊かにするために重要なものなのだ。
そしてロマンには「周囲に伝播する」という特性もある。情熱を持って物事に取り組んでいる人は、周囲にも強い影響を及ぼす。ロマンチストが一人でもいれば、周囲の人間もロマンチストになっていく。
逆に言うとロマンチストがいない社会ではロマンチストは生まれない。
ロマンとはそういった性質だからこそ、今回のはやぶさ2の偉業は非常に価値があるのだと思う。はやぶさ2のカプセルの帰還は、宇宙開発以外の分野にたずさわる人にも勇気と希望を与えてくれた。たくさんの人に「私も自分の夢を叶えてみよう」と思わせてくれた。
最大級のロマンである宇宙開発の分野での成功の影響力は計り知れない。
まとめ
執筆業とモデル業での成功を志し、取り組む中で筆者もいろいろなことを言われてきた。「価値がない」などという扱いを受け、苦しんだことは何度もあった。
それでも筆者は執筆業やモデル業、そしてその両方を組み合わせたことによって生み出されるものはたくさんの人の人生を豊かにするのだと信じている。信じているからどんなに蔑まれようとも続けてきた。
正直心が折れそうになることは今でもある。
それでもこうした宇宙開発の分野での成功のニュースを聞くと、勇気がもらえる。