
現代の日本の離婚率は35%と言われている。結婚しても1/3のカップルが離婚に至っているということだ。同時にシングルマザーの貧困も問題視されるようになってきた。特にコロナ禍の中では貧困に陥るシングルマザーが増えているとのこと。
筆者は友達作りのためにセミナーや異業種交流会などに行くことがある。そしてそこで知り合った女性と、その後食事やお茶をすることがある。
セミナーや異業種交流会に参加する女性というのは往々にして自立に対する意識が高い。そんな彼女たちの中には「離婚した」あるいは将来離婚する予定がある人も多い印象だ。
「『もっと成長したい』という私の気持ちを、旦那は受け入れてくれない」
もちろん人それぞれ離婚の理由は異なるのだが、このように言う人は少なくない。
このように言う彼女たちが嘘をついているとは決して思わない。思わないものの、離婚する前にできたことは夫婦双方にあるのではないか……と筆者自身の経験を通して考えることは多い。
筆者のミスコン挑戦と夫

今筆者が自分の好きな仕事ができているのは、夫のサポートがあるからだ。夫のサポートなくして筆者は今のように仕事をすることなどできなかった。
「いい旦那さんですね」
人からそう言われたら「本当に感謝しています」としか返しようがない。
しかし最初からこんな夫婦関係だったわけでもない。筆者と夫はここに至るまでにそれなりに盛大な夫婦喧嘩をした。冗談抜きに「水をぶっかけ、ちゃぶ台返しをし、最後ぐちゃぐちゃになった家の中で二人で泣きながらカップ麺を食べる」といった夫婦喧嘩だ。
なぜそんな夫婦喧嘩をしたのか。
結婚前、筆者はミスコンに何度か挑戦していた。その時夫は筆者に対して「頑張れ」も「お疲れ様」も言わず、一緒にいてもミスコンに関しては話題にあがることもなかった。それこそミスコンではweb投票が開催されたが、夫はそれで投票することもなかった。
「人それぞれミスコンに対する考え方はあるし」
大会期間中、自分が今エネルギーを注いでいることに対して無関心な彼氏に会う時はそう自分に言い聞かせていた。
しかし筆者は友人がクラウドファンディングを立ち上げたら条件反射のごとく支援をし、友人が本を出版したらやはり条件反射のごとく購入する人間だ。
だからどんなに「人それぞれミスコンに対する考え方がある」と思いながらも、一方で、
「パートナーから『ミスコンのweb投票協力して』と連絡が来たら条件反射で投票するし、顔を見た時には条件反射でそれなりの励ましの言葉をかけるもの」
とも思っていたのも確かだ。
「今度の週末はビューティーキャンプがあるから会えない」
そう連絡を入れているのに実際に会った時にはミスコンのことを一切話題にしないというのも、筆者にとっては不自然に感じられた。
そんなもやもやを抱きながらも、その後紆余曲折あって筆者は夫と結婚した。
結婚後のある日、
「雄妃はライターの仕事を精一杯頑張ったところで扶養の範囲内しか稼げないだろう」
この一言に私は文字通り「ブチ切れ」た。
「結局あなたって私のことを下に見下していただけじゃないの?」
から始まり、
「もしかしてミスコンの時に完全に無関心だったのも、私が成功したり幸せになるのが許せなかったんじゃないの?あなたは成功しようとする私に嫉妬したから、『無関心を貫く』という悪役にはならない方法で私の足を引っ張ろうとしたんじゃないの?」
「もうあなたとは一緒にいられない。私の能力を低く見積もるようなあなたの側にいると、うまくいくものもいかなくなる」
このようにぶち切れた結果上記の「水をぶっかけ、ちゃぶ台返しをする」という喧嘩に至った。ちなみに水をぶっかけたのは筆者であり、ちゃぶ台返しをしたのは夫だ。
「ごめん。確かに俺の態度は間違っていた」
夫のこの謝罪を以って「最後ぐちゃぐちゃになった家の中で二人で泣きながらカップ麺を食べる」に至ったものの、筆者がミスコン絡みの人間関係に関する悩みを他にも抱えていたこともあり、その後もこの件について何度か小・中規模の夫婦喧嘩をした。
その結果、「将来は二人で北海道に移住しよう」と言えるようになった。
「一言『お疲れ様』というセリフが欲しかった」

ミスコンに挑戦している間、筆者は将来の自分の輝かしい成功と幸せを思いえがいていた。だからこそ、そこに対して無関心な、にもかかわらず将来のことを考えていた彼氏(夫)の態度にもやもやとした思いを溜め込んでしまっていた。
つまり筆者は、「成長しよう」と奮闘している自分に対してパートナーからの「頑張れ」「お疲れ様」という言葉が欲しかったのだ。その一言があったら、もやもやした気持ちをため込むこともなかった。
上記の夫婦喧嘩はもちろん夫にも原因はあったと思う。しかし「ミスコンを通して思い描く私及びあなたとの将来」を積極的にプレゼンしなかった筆者にも非がある。
筆者がもっと「ミスコンとは自分にとってどんなものなのか、そして自分がどうなりたいのか、どうしていきたいのか、そのためにパートナーであるあなたにはどんなサポートをしてほしいのか」を話していたら、あんな喧嘩にはならなかったはずだ。
何も話していない状態で最初から「この人には何を言っても無駄」と決めつけ、実際何も言わなかった筆者はまさに「自分勝手なめんどくさい女」と言える。
ミスコンに挑戦する筆者に対して夫が嫉妬していたのであれば尚更筆者は「ミスコンからスタートする新しい私のキャリア」をプレゼンをするべきだった。
「モラハラ夫」の正体

人は「察してほしい」と思っていた筆者のことを「めんどくさい女」と言うかもしれない。しかし女というのは往々にして「察してほしい」と思うもの。筆者自身、自分のことを「めんどくさい女」と思わなくもないが、そんな自分が異常とも思わない。
時には夫以外の人間に対して「もうちょっと頭使え」と思うことは今でもある。プロフィール欄に「作家」という肩書きが書いてあるのを見たら、せめて「この人は何かしらの作品を販売しているんだな」ということを想像してほしいし、もう一歩踏み込んで「この人に話しかけたら営業をかけられるだろうな」というのも想像してほしい。
そして男というのは「察する」ということが苦手な上でに、察したとしても「気づかう」というのが苦手なものでもある。
「ミスコン挑戦時のもやもやを引きずりながらも結婚し、結婚後にそのもやもやを爆発させた結果離婚寸前レベルの喧嘩もし、現在は夫婦で北海道に移住することを目標にするようになる」という経験をした筆者は、「成長したいという私の気持ちを夫は理解してくれない」と語る女性を見ると思うことがある。
「もしあなたがもっと積極的にセミナーで学んだこととかを楽しそうに旦那さんに話していたら、旦那さんの態度も変わるんじゃないかな」
「旦那さんはあなたの『成長したい』という思いに無関心なわけではない。ただ、あなたの思いに対してどう振舞ってあげたらいいのか分かっていないだけかもしれない」
もちろん「お前に何ができるっていうんだ」という見下した態度を露骨に表すような、いわゆるモラハラ夫というのもいる。だから筆者は上記のように思っても、相手の状況によっては言わないこともある。さらに上記の考えが完全に当てはまらないこともたくさんある。
しかし「モラハラ夫」ではない人もたくさんいる。
成長したいという自分に対して無関心な夫が、必ずしも本当に無関心なわけではない。表面では分かりにくくとも気づかってくれているということもとてもたくさんある。
そして本当に無関心だったとしても、こちらからのアプローチ次第では理解してくれることもある。
だから「夫が理解してくれない」と嘆くのであれば、一度自分のビジョンをプレゼンし、正面からぶつけてみる必要があるのだ。それもしないのに「理解されない」と言うことはそれこそ典型的「自分勝手なめんどくさい女」でしかない。
そうすることがかえって離婚を引き起こすこともある。しかし自分の思いをきちんと伝えた上での離婚であれば納得もできる上に、その離婚の経験は人生の糧となる。逆に沈黙したまま離婚した経験は成長のきっかけにはならない。
自分の向上心を理解してくれない夫はただどうしたらいいのかわからないだけで、実はモラハラ夫ではない可能性もある。だからこそ、「成長したい」と思っている女性は一度パートナーにプレゼンをすべきなのだ。
離婚を防ぐためのイメージシナリオ

女性が離婚を防ぎながら「成長したい」「自立したい」という思いを実現するためのイメージシナリオとしてはこうだ。
妻「ただいまー」
夫「おかえり」
妻「今日のセミナー超楽しかったんだよ!やっぱり資産運用のこととかもっと考えなきゃいけないって思った!」
夫「へー」
妻「変にお金のことに対してネガティブになりすぎちゃいけないなって思った」
夫「ふぅん」
妻「でもだからといって老後に対してはちゃんと備えなきゃ」
夫「へー」
妻「あとそこで会った人がまた超面白くって!過去には大道芸人やってたんだけど今はお坊さんやってる人と知り合ったんだよ」
夫「変わった経歴だな」
妻「でしょでしょ!」
「過去に大道芸人をやっていたお坊さん」の登場まで、確かに夫の態度は無関心なものに見えるかもしれない。さらに、
「そんな経歴の人の話されたら誰でも興味持つわ!」
とツッコみたくなる人も多いだろう。
まさにその通りで、それが狙いでもある。
どんな話題であっても「誰でも興味をひかれる小ネタ」は話している本人が楽しそうであればあるほど登場する。そして話している本人が楽しそうであればあるほど、そういう小ネタが出た瞬間に相手はスイッチが入ったように耳を傾ける。
そしてそこから「成長したい」という思いへの興味も生まれてくる。
自分の向上心をパートナーに理解してほしいという人は、自分が興味を持っていることや学んだことをひたすら楽しげに話してみよう。確かに最初は手応えを感じないかもしれないが、少しずつ相手が耳を傾け、興味を持ち、理解してくれているのを実感できるようになる。
たまに会う程度の友達にはウザがられるかもしれない。これはある意味一緒に暮らしている家族でしかできない手法でもある。そして家族だからこそやるべき手法でもある。
ちなみに「過去に大道芸人をやっていたお坊さん」のような変わった経歴の人は意外とそれなりにいるものでもある。
まとめ
ちなみにこの投稿は夫による監修を受けている。