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コラム:人生100年時代の若者

長い歴史の中で人類は不老不死を何度も夢見てきた。「人生100年時代」と呼ばれる現代は、ある意味人類の夢が叶った状態なのかもしれない。

現在30歳の私にとっての「人生100年時代」

正直なところ、現在30歳の私が「人生100年時代」というフレーズを聞くと、

「あと70年も生きるのが……ダルっ!」

という感想を抱く。

平均寿命に照らし合わせると、私は高確率であと57.91年生きるらしい。87歳か88歳まで生きる可能性がある。1990年生まれの私が100歳まで生きたとしても別に不思議でも何でもない。

『ドラえもん』が生まれた年は2112年。もしかしたら私と同い年の人の中には122歳まで生きてドラえもんに会う人もいるかもしれない。

長く生きるということはそれだけ必要なエネルギーが増えるということでもあり。あと70年生きるのであれば、常に生きるために必要なエネルギーを生産し、集めながら生きなければならない。

長い。長すぎる。

ダルい。

そんなことを考えずにいられない。

平均寿命が伸びたわけ

なぜこれだけ平均寿命が伸びたのかというと、もちろん医学の発達によって克服できる病気が増えたからだ。100年前なら死んでいた病気も、今では簡単に治ってしまう。

最近では「傷口は清潔な水で洗うと治りやすい」と言われているが、恐らくこの治療法は「傷口にかけても大丈夫なほど清潔な水が簡単に手に入る」という前提があってこそのものではないだろうか。

特に今の日本では水道の蛇口をひねれば清潔な水が手に入れられる。しかしこれはごく最近になって実現した話で、水道がひかれた当初には「傷口に水をかけるなんて滅相もない!」という話だったのではないだろうか。

医学の進歩と清潔な環境の確保によって、たくさんの病気が克服された。

だから特に若者を中心に人が死ななくなった。

平均寿命が長くなった理由は、病気にかかっても助かるお年寄りが増えたからではなく、赤ちゃんや若い人が死ななくなったからでもある。

死ねない苦しみ

実際にしたことがないため本当のことはよく分からないのだが、自殺するためには膨大なエネルギーが必要らしい。自殺とはそれだけの手間がかかることなのだ。

例えばもし、連日爆弾の雨が降り注ぐ地域に住んでいたとして、かなりの高確率で1年後までに死ぬという状況だったとしたら、果たして人は自ら命を絶とうとするのだろうか。

「自分でやらなくても死ぬ可能性が高いから、わざわざ自分でやらなくてもいいや」

そう思って自殺を踏みとどまる人もいるのではないだろうか……?

しかし、今の日本では若い人は滅多に死なない。「100歳まで生きるかもしれない」とさえ言われている。

1年後も10年後も高確率で生きている。あと何十年もそれが続く。生き苦しさを抱えている人にとってはそれこそ絶望的なことなのかもしれない。

「だったら自分で死ぬしかないかな」

そう考えて、自殺する道を選ぶ人も多いのではないだろうか。

長い人生を豊かに生きるために必要なもの

あと70年生きると思うと、私も「ダルいな……」と思ってしまう。

それでも私が明日も10年後も20年後も、とりあえず今は生きているつもりでいられるのは、それなりに今が楽しかったり目標があったりするからだ。

「こういう楽しさとか目標とかをわざわざ捨てるほどあと70年生きることをダルいとも思ってない」

その程度でしかないのだと思う。その程度でしかないから何かの拍子にこれらを失ったら、私も自殺を検討するのかもしれない。

逆に言えば「とりあえず生きる目的」があれば長い人生をそれなりに豊かに楽しみながら生きられることになる。

まとめ

「今の人は自己肯定感が低い」
「若者の自信不足」

などとは言われているが、これは別に今の人が弱くなったのではなく、ただ単に人類が長くなった寿命にまだ適応できていないだけなのかもしれない。

変に自殺率の高さを悲観するのではなく、史上最も長くなった寿命をどう生きるかを考えた方が、この問題の解決策は見つかるのではないだろうか。

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