
作家などのクリエイティブな仕事をしていると、常に新しいアイディアが必要になってくる。アイディアがない場合はデスクに向かったものの頭を抱えたままただただ時間が過ぎてしまう……という事態になりかねない。
アイディア不足という状況に陥らないためにも、私はアイディアがひらめきやすくなる習慣を心がけている。この記事では私が実践している新しいアイディアを生み出し続けるための習慣を紹介する。
散歩をする

例え外出する用事がなかったとしても、私は1日最低1回は散歩に出かけるようにしている。近所の公園を歩いたり、川原の堤防を歩くのだ。
一日中家に引きこもっていると、どうしても得られる刺激が少なくなってしまう。馴染みのあるものに囲まれた生活は、見ている風景にも慣れてしまう。慣れ切った環境の中ではどんなにSNSで他の人が発信するものを見ていても、それを自分の中にしっかりと落とし込むことができなくなってくる。
散歩のために外出すると、たくさんの刺激が受けられる。同じ時間帯・同じルートを歩いていても、昨日と今日とでは気温も空の雰囲気も全く異なる。それだけで違った風景に見えることもあれば、何年もの間ずっと変わらない風景があることにも気づける。
こうした刺激を得ることで、新しい発想を思いつきやすくなるのだ。
芸術に触れる

何かしらの芸術に触れることで、新しいアイディアをひらめきやすくなる。この場合の芸術とは、絵画や音楽だけでなく、小説や映画、演劇、写真なども含まれる。時代やジャンル、権威といった縛りはない。
芸術に触れることで人は普段は感じられないようないろいろな感情を感じられる。それこそポジティブな感情だけでなく、怒りや反感といったネガティブな感情を感じることもあるかもしれない。
こうした感情を感じることが「感動」だ。
何度も「感動」することで、逆に自分の中でどうしても動かない部分があることに気づける。その動かない部分こそが自分自身の大切な「価値観」であり、アイディアを生み出すための生産機関になる。
アイディアを生み出す機関を目覚めさせ、機能させるためにも、気軽に芸術を楽しむようにしよう。
変に気を張って「美術館に行く」や「演奏会に行く」必要はない。スマホを使って感動を得ることだってできる。
ただし、SNSなどを使っていると「じっくりと考える」ということをしなくなることもあるので注意が必要だ。感動は1つのものに対してじっくりと考えることで得られるものであることを忘れないようにしよう。
美味しいものを食べる

好きなものや美味しいものを食べることで、芸術に触れるのと似たような効果が得られる。
美味しいものや感動を呼び起こす芸術は、心をときめかせてくれる。このときめきがアイディアの種になるため、新しい発想が常に必要なのであれば自分の身の回りをときめくもので満たすように意識してみよう。
お金をかけなくても食べられる好きなものや美味しいものはたくさんあるはずだ。むしろ今の自分が本当に好きなものはこれまでの経験の中にあるのだから、「過去は億万長者だったが今はすっかり零落してしまった」といった極端な変化でもない限り自分の心を本当にときめかせてくれるものは手軽に手に入れられる。
メモをする

ひらめいたアイディアはこまめにメモをするようにしよう。
どうしても人間の記憶には限界があるので、「素晴らしいアイディアを思いついた」と思ってもすぐに忘れてしまう。
しかも腹が立つことに、ひらめいたアイディアの内容は忘れていても、アイディアをひらめいたことははっきり覚えているということもある。
「今朝家を出た瞬間に何かひらめいたんだけど、なんだったかな……。絶対に仕事に役立つと思ったんだけど、なんだったかな……。右足が一歩玄関の敷居をまたいだ瞬間にひらめいたんだよ。なんでこういうことは覚えてるのに、肝心の中味を覚えてないんだ……」
ということは珍しくない。そんな自分に腹が立つ。
手書きのメモ帳を持ち歩いたり、スマホのアプリを使うのもおすすめだ。私は両方を使って気づいたことをメモしている。自分にあったメモの使い方を見つけて実践していくと、アイディア不足で困ることもなくなるだろう。
積極的にアウトプットをする

日頃から自分が学んだことや感じたことは積極的にアウトプットするようにしよう。
不思議なことに、アウトプットを繰り返しているとアイディアがこんこんと湧き出すようにもなる。ただたまっているだけの水は腐るだけだが、流れを作ってやると循環するようになるということらしい。
アウトプットをするということは受け取った刺激を一旦自分の中で受け取って、考え、吟味するということでもある。従って「感動」が得られるようになるのだ。
誰かに見てもらうつもりでアウトプットを続けることで、アイディアはひらめきやすくなる。SNSを使うことで手軽にアウトプットすることもできる。
ただし、SNSはやはり慎重に使うようにしよう。SNSは自分の頭で考えているつもりになるだけで、実は脊髄反射を繰り返しているだけということが多い。実際には何も考えていないのに、自分が賢くなったかのように錯覚してしまいがちだ。だから狙った効果が得られなくなる恐れもあるので注意するようにしよう。
まとめ
普段からほんの少し多めに考える習慣が新しいアイディアにつながっていく。一度に強い刺激を受けることを狙うのではなく、日常の中にある些細な刺激でちょっとした感動を積み重ねるように意識しよう。